本の棚

れっつ 読書/Instagram@honnotana

『おはなしして子ちゃん』 藤野可織


初めてこのブログをご覧いただいている方は、記事の一つ目「とりあえずご挨拶」を見て頂けると幸いです。

 

第二弾は、ちょっとゾクッとする不思議な短編集。


 

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『おはなしして子ちゃん』藤野可織

講談社・定価1300円+税・ページ総数219頁)

 

『爪と目』で2013年に第149回芥川賞を受賞された藤野可織さんの

受賞後第一作目となる本作品。

文庫は出ていませんが、ソフトカバーなので比較的軽く、持ち運びやすい本です。

 

まず絵本のように綺麗な装丁に目が行く本書ですが、

タイトルや表紙の可愛らしさからくるこちらの予想を

気持ち良く裏切ってくれるダークな“おはなし”がたっぷり詰まっています。

 

理科室に閉じ込められた「私」が、“あの子”からお話をせがまれる表題作『おはなしして子ちゃん』

14歳から一日に一つ嘘をつかなければ死んでしまう体となってしまった女の子を描く『エイプリル・フール

“ある視点”から描かれる『ホームパーティーはこれから』

など、全10篇の奇想天外な “おはなし” たち。

他では味わえない不気味で不思議な世界観をぜひ味わっていただきたい!

 

奇想天外ではありますが、決して現実離れしたファンタジー小説ではないのも

この本の魅力のひとつです。

どこかで起こっていそうな妙な現実感。

私たちの生活の中に潜んでいそうな不気味さ。

かなり面白いです。

 

そして、人間誰しもが少なからずもっている暗い部分が、

不気味ながらも不思議な魅力たっぷりに描かれているところ。

あなたがそこはかとなく共感を抱いてしまう、

「なんだかわからないこともない」と思ってしまう、

ハッとさせられる、

そんなポイントさえあるかもしれません。

 

こうした異色の世界観を手軽に体験できるのも読書の醍醐味です。

ぜひ一度ご体感ください。

 

 

P.S.

本書は電子書籍でも出ているようですが、

私としてはぜひ紙の本で読んでいただきたいです。

最後に○○が×××して「△△△!」となると思います。

 

 

 

 

『風が強く吹いている』 三浦しをん

初めてこのブログをご覧いただいている方は、記事の一つ目「とりあえずご挨拶」を見て頂けると幸いです。


第一弾は、王道の青春小説です。題材は「走ること」。

 



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『風が強く吹いている』三浦しをん

新潮文庫・定価840円+税・ページ総数670頁)

 

 

王道であり、"胸アツ"です。かなり熱い。

あまり本を読まない方、ページ数を見て「やーめた」とか思わないでください。

長編ですね、でも読み切っちゃうと思います。

 

舟を編む』『まほろ駅前多田便利軒』など人気著作の多い三浦しをんさんの作品。

だいたいの書店で置いてあると思いますので手に入りやすいはずです。

 

主人公はとある事情で陸上から離れた、でも走ることからは離れられない

天才ランナー走(かける)。

そんな走が灰二と出会って、たどり着いたオンボロアパート竹青荘。

そこに暮らす九人の住人達。

年齢も性格もこれから進んでいく道もてんでバラバラ、

ただ住む場所と大学がたまたま同じだっただけの十人のど真ん中で

ある日灰二が放った言葉は「そう、駅伝。目指すは箱根駅伝だ。」

箱根駅伝」とは。「走る」とは。

そしてあまりにも無謀な挑戦の中で、

十人それぞれが目にしたもの、掴んだものとは...

 

 

この作品の魅力の一つは登場人物たちです。

主人公は走と書きましたが、十人全員がほぼ主人公並みの存在感を放っています。

キャラクター的にもそうですが、

彼らの、何かをこらえる姿、逃げ出す姿、屈折する気持ちや様々な喜びは

とても濃く描かれています。

 

そして何より、最大の魅力は終盤、第九章「彼方へ」からの興奮の250ページ。

“迫力”の一言です。長いですが、一気に読まずにはいられない。

まるで彼らを目の前にしているような、

まるで自分が彼らになって走っているかのような、

そんな気持ちになる、胸に迫るラストです。(思い出して鳥肌たってます)

 

 

「ずっとあとになって、俺はきっと、この一年を懐かしく切なく思い返す。」(p.575)

十人のうちの1人、キングのこのシンプルな言葉。この物語を読むと沁みるんです私。

 

 

今「なんか疲れちゃったな」なんて感じてる方にもオススメです。

年齢関係なく"胸アツ"になる時間って、結構なかなかいいもんです。

 

 

ぜひ一度読んでみてください。

この私の拙い紹介では、申し訳ありませんが、魅力は伝えきれていません。

すみません。ぜひ。ご参考までに。ちなみに映画化されてます。

 

 

P.S.

読み終わった方はたぶん箱根駅伝が見たくて仕方なくなってると思いますので

来年のお正月は、箱根駅伝を見る予定を組むことをお奨め致します。

 

 

 

 

とりあえずご挨拶

始めました。

ブログとかあまり続かないタイプですが始めてしまいました。

 

本を紹介します。よくあるブログです。

でも書評ではありません。(素人が難しいこと書いたって、書く方も読む方もよくわからないものになりそうです。)

本は大好きですが、残念ながらそれほど知識が豊富なわけではありません。

難しい用語もわからないし、語彙力もなかなか乏しいです。

申し訳ないです。

 

ただ、

「本でも読んでみようかな」

と、一ミリでも思ったことのあるそこの貴方に本を読んでいただく為に書きます。

「何読んだらええんかわからんし」

「選ぶのめんどくさい」

で、本から離れてしまうそこの貴方に本を読んでいただく為に書きます。

読みたいなと、思ったその時が吉日です!

せっかく面白いものに触れそうなのに、

やめちゃうの勿体無いです。

触ってみないとダメです。

なのでそんな方の本選びのお手伝いができたらと。

暇つぶし程度に、気が向いたときに、ちら見だけでも、読んでみてください。


こういった趣旨ですので、ネタバレは一切ございませんし、

なるべく、どなたが読んでもわかりやすい文章にしていきたいと思っております。


 

「へー、こんな本あるんや」と興味をもっていただけたらスキップします。

「読んでみよかな」とその本を書店やネットで探してもらえたら小躍りします。

「本って意外と面白いやん」と本にハマってもらえたらバク宙します。


 ・・・意外とハードル高いか。

でも、頑張りたいと思います。

もちろん本大好きな方にも読んでいただけたら、跳んで跳ねて一回転して喜びます。

 

 

よろしくお願いします。