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『神戸、書いてどうなるのか』 安田謙一

初めましての方は「とりあえずご挨拶 - 本の棚」をご一読くださると幸いです。

 

早くも1か月1回ペースの更新になってしまっています。

言葉だけで人に興味をもってもらうというのは難しいですね。

今回は、その言葉だけで好奇心を大いにくすぐられる異色のガイドブック。

 

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『神戸、書いてどうなるのか』 安田謙一

(ぴあ・定価1500円+税・ページ総数255頁)

 

 

題名のとおり、関西を代表する港町「神戸」に関する本です。

「神戸」生まれ「神戸」在住の“ロック漫筆家”、安田謙一さんが

食、映画、音楽、本、人、風景、そして今は無き神戸の姿、などなど

実に様々な観点から「神戸」について語る108本のエッセイ集。

 

関西では平積みや面陳列で置いてある書店も多いので、

表紙を目にしたことのある方も多いのではないでしょうか。

 

 

書店に行けば、神戸を特集した雑誌やガイドブックは数多く在ります。

ネットを開けば、NAVERあたりに「神戸のおいしいお店オススメ20選」

なんて、まとめられちゃったりもしています。

「お洒落」イメージが主流の神戸。神戸出身として、鼻高々ですね。

 

 

しかし、

この本はそんなイメージをおそらく気持ち良く覆してくれる、

異色の観点でありながら、“素”の神戸を隅々まで知ることができる一冊です。

 

神戸とは一体どんな街なのか。

神戸という場所には何が刻まれ、何が生きているのか。

神戸に住んでいる・いない、行ったことが有る・無い

そんなこと関係なく、ひとつの街を知る面白さが

この本には詰まっています。

 

そしてこの本の良いところは、安田さんの文章の軽快さ。

108本のエッセイは一つ一つがおよそ800文字で構成され、

ページにしてたったの2ページ。しかも余白たっぷり。

かなり眼にやさしく、読みやすい一冊です。

 

たった2ページで「信そば 長野屋」のカレーそばが食べたくなったり、

たった2ページで「兵庫駅」に降り立ちたくなったり。

 

2ページにさらりと書かれている

可笑しく、ディープで、時にノスタルジックな神戸を

鼻歌まじりにさらりと読めば、面白さ満点の一つの街が浮かび上がってきます。

 

 

 

私が愛した神戸の多くのものは姿を消したけれど、神戸が面白くなくなったとは言わない。(p.245)

 

 

変化しつつも失われない神戸の面白みをぜひ味わっていただきたいと思います。

そして、ぜひ実際に神戸に足を運んでいただければ。(簡単な地図もついています)

 

インドアな「読書」という行為が、人を外へいざなう手段になり得る

というのは面白いですね。

 

 

P.S.

本書には途中に何枚か神戸の写真が差し込まれています。

神戸に馴染みのある方は「あ、ここ!」なんていう愉しみもあるかもしれません。